2021年現在、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、医療の現場では感染リスクと常に隣り合わせです。
なにかアルフレームを使った製品で医療従事者を守る役に立てないか?
という想いで開発した製品が、ストレッチャー用のビニールカバーです。
一分一秒を争う現場で、飛沫感染のリスクを抑えながらも、医師がスムーズに処置を行えるように、取り付けの簡単さや作業性の良さをコンセプトに今回は地元の病院と共同で開発を行いました。
今回のアルミやろうぜでは、そんな製品を開発するに至った背景や製品の特長についてご紹介します。
開発のきっかけ
本製品の開発のきっかけは約一年前。2020年のある出来事から始まりました。
弊社では昨年病院の待合室や、飲食店の座席向けにビニールパーテーションを開発し、地元の医療機関に寄贈いたしました。(パーテーションの詳しい内容についてはこちらをチェック!)
その後、今年の春に同じ医療機関から、新型コロナウイルスに感染した患者用の部屋を作りたいというご相談をいただきました。社長がその打ち合わせのため病院に伺ったところ、院内で患者を搬送するためのストレッチャーを見かけます。
「たとえばこのストレッチャーで患者を搬送するときに使うカバーが出来たらどうだろう?」
ふと社長は考え、実際に現場に立つ緊急医の方に提案してみたところ、ぜひ開発してほしいということで、現在の医療従事者が抱える感染リスクについて教えていただきました。
現状の現場での問題点
病院では、容態が悪化した、新型コロナウイルスに感染している患者をストレッチャーで搬送する際に"気管挿管"という気道の確保を行う場合があります。
口の中に器具を入れて気道の確保を行うのですが、その際に患者がせき込んでしまうことで、飛沫でウイルスが舞い、医師や看護師に二次感染してしまうというリスクがあります。
ご相談いただいた医療機関では、寄付していただいたストレッチャー用のカバーを使用していたそうなのですが、患者の頭部をコの字に囲ったアクリルの箱に、手を入れる穴が二つ空いているシンプルな仕様で、作業時手が自由に動かしにくく、処置の妨げになってしまいます。腕が擦れることで痛い、という意見もありました。
また、処置後にカバーを外してしまえば、カバー内の飛沫が結局外に広がってしまうので、感染リスクが抑えられているとは言い難い状況でした。
全身を覆うタイプの製品も販売されていますが、高額かつ大きく重たいため、扱いづらいというデメリットがあります。
このような使いづらさから、結果的に必要な処置が遅れてしまうことになるため、院内でもなかなか、カバーの導入が進んでいなかったそうです。
「患者さんの頭をクリアケースなどに入れさせていただいていますが、処置をするときに自由に手が動かせず、結局処置をおこなうときだけケースを外しているんです。」
という現場の声もあり、自社でクリーンルームなど、囲いの製品を作ってきた知識を生かして、現場の人が本当に使いやすいカバーの開発を行うことになりました。
開発までの道のり
医療従事者を感染リスクから守るために
まずは試作品の制作です。実際に使用する医師や看護師が使いやすいように!ということで、現場からの要望としては、
- 囲いはストレッチャーの頭部分のみで可
- 天面は透明パネル
- 側面は透明ビニール
- 換気装置つき
- 換気装置にはフィルターをつける事
- ウイルスを外に直接排出しないように、陰圧式とする(排気はフィルターを介して行う)
- カバーの着脱はできる限り簡単に
- 気管挿管スペースを確保するため、ある程度の高さが必要
- 使わないときは折りたたんで収納できること
という点が挙がりました。この製品を使う一番の目的は、「医療従事者を新型コロナウイルス感染の脅威から守ること」なので、従来のように囲うだけではなく、換気装置も重要になってきます。
そのため、まずは換気装置を探すことから始まりました。いつも自社製品で使用している換気装置は、小さくても約30cm角で3kg程のものでした。
これでは大きく重たいため、カバーが使いづらく利便性に欠けます。今回は12cm角の軽くて小型の換気装置を使用することになりました。
また、「カバーの着脱を簡単に」「使わないときは折りたたみたい」ということで、ストレッチャー自体に加工は行わずに製品を固定できるように、ストレッチャーのフレームに、クランプのように挟み込んでカバーを固定する方法を取りました。
使用しない場合はネジをゆるめることで畳むことができるため、コンパクトに収納可能です。
これで一旦フレーム部分の仕様が決定したため、実際に使用する緊急医の先生に診ていただくことになりました。
「ちゃんと畳める」「おおっ!」と感触は上々で、この仕様で正式に決定!となるかと思いきや、このあと見に来てくださった救急担当の看護師の方から
「救急車から降りてきてから、これをいちいち広げられない」「たためなくてもいい」「固定でいいのでその分軽くしてほしい」
と、厳しくも現場の率直な意見をいただいたため、これを参考に二次試作に取り掛かりました。
現場の本当の声に応えて遂に完成
先ほどの意見を踏まえ、二次試作ではストレッチャーに元々ついている、点滴を吊り下げる棒などを差し込むための穴に着目。ここにカバーのフレームを差し込むだけの仕様に変更しました。
一次試作の仕様では、フレームを固定してから、パネル部分の角度を調整してネジを占めるという2つの作業があったため、取り付け時間はかなりの短縮になっています。
この新しい試作をもう一度病院で確認していただき、出来上がったのがこちらの仕様です。
詳しい仕様はこちらの製品一例でご紹介しています。
製品のこれから
製品を実際に使用して頂いた方からは、「ちょうどいい大きさ」「とても使いやすい」という感想をいただきました。
「実際に現場に立っている方と一緒に作り上げることができたことで、現場の本当の声に応えているのはこの製品だと思っています。」
と社長は語ります。
今後は車いす用の囲いの製作も検討しており、これからも世の中の変化に合わせて、新しいものをどんどん製作し続けていきます!
製品に関する質問等は、こちらからお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ囲いだけでなく、アルフレームを使って様々なパーテーションも製作しております。こちらもぜひご覧ください。