こんにちは!にしです!アルミやろうぜ第4回、今回はグラインダーの囲いと集塵機を収納する棚が一つになった作業台についてご紹介いたします。今回は一人でお届けします!
これまで本コラムでは、お客様向けの商品のご紹介をしてきましたが、今回は自社の改善のために製作したものをご紹介いたします。それが、このグラインダーの囲いと集塵機を収納する棚が一つになった作業台です。
この製品を製作するきっかけは、作業中に出るアルミの粉が周りに舞って大変…。という問題からでした。
弊社では、製品製作の際に使用する部材のバリ(部材の加工時に出る突起の事)を卓上のグラインダーで取る作業が多くあります。
組み立ての邪魔にならないように、そして製品を製作する人・使用する人がケガをしないために行う、細かいながらもとても重要な作業です。この作業を行う際に削ったアルミの粉が出てくるのですが、このアルミの粉が周りに多く舞ってしまうという問題点がありました。
私もグラインダーを使った作業は何度も経験しているのですが、アルミの粉を吸い込むと人体によくないことはもちろん、コンセントなどに入るとショートが起こり機械が壊れてしまったり、最悪の場合粉塵爆発が起きるという可能性もあります。機械が壊れて突然製品が製作できなくなる、と想像しただけでもう大変ですし、そんなことはなんとしてでも避けたいですね…。
そしてさらに困ることがもう一つ。作業後の掃除が!!大変!!いやもう本当に大変なんです!!!作業が終わった後はグラインダーの周りはアルミの粉で真っ白。作業をしていた私も真っ白。箒で掃除しようにも、粒子が細かすぎてうまく集まらない…。
アルミの粉を吸い込むための集塵機もあわせて使ってはいたのですが、グラインダーの近くに集塵機のホースを近づけるしか方法がなく、いやほんまに吸い込んでる???とツッコミたくなるほど効果は実感できず…。作業時は服が真っ白になるのを防ぐために、ひざ元にシートをかけて作業する人もいるほどでした。
粉が舞う量を抑えるには、とにかく集塵機がきちんと仕事をしてくれない限りはどうにもなりません。ならばグラインダーの周りを囲って、その囲いに穴をあけて集塵機のホースをつなげば、集塵機の吸引力が上がって粉をもっと吸ってくれるのでは?というアイデアが出ました。これが今回の製品製作の出発地点です。
弊社では、昨年度の月に1度、社内改善に集中して作業を行うことができる時間を作っていたので、その時間にこの製品を作ることになり、製作検討が始まりました。しかしすぐに現在の形ができあがったわけではありません。当初は人ごと大きく囲うような仕様を検討していました。というのも、グラインダーの周りを小さく囲うと、作業を行う際に部材の形によっては囲いに部材が当たって邪魔にならないか?と考えたためです。
これが、社員の意見を元にして考えた、当初の仕様のアイデアイメージです。特長としては人ごと大きくパネルで囲い、集塵機のホースをつける部分の開口を小さくすれば、流速が上がるので粉塵をより吸い込みやすくするのでは?というイメージです。パネルは屏風のように折りたたんで、片づけられるような仕様にしたいなと思っていました。
一時はこの案で話が進んではいたのですが、実際に作業者の意見を聞いたところ、グラインダーでの作業は頻繁にあるため、畳めるといってもその都度片づけて、また出して、片づけて…というのは面倒!また、人ごと囲うサイズなので畳んでも片づける場所がない、という意見がでました。
確かに言われてみれば、人の身長ぐらいの大きさのパネルを片づけて直してと繰り返すのも面倒だよな…ということになり、新たな案を検討し始めます。そこで出てきたのがグラインダーの周りだけを囲ってしまう完成形の仕様です。
ただ、ここで気づかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?「さっき周りだけを囲う案は部材が囲いに当たって邪魔になるって言ってなかったっけ?」と。
このように、パーツをグラインダーに当てて加工を行うのですが、グラインダーのすぐ周りを囲ってしまうと、形が大きいパーツの加工の際囲いにあたってうまく加工が行えないのでは?という懸念点がありました。
ただ要望を達成できる製品が出来たからと言っても、実際に作業するときに作業者が使いやすくなければ意味がありません。ということで、この問題を解決するために考えた仕様は、囲いの位置を調整できるようなものでした。
囲いにネジ穴加工を行い、作業側にもいくつかの穴をあけておきます。部材によって穴の位置を変えてねじ止めで固定すれば、簡単に位置の調整もできますし、部材と囲いがぶつかることがなくなります。
囲いの後ろ側に集塵機のホースを通して集塵機を使うことで、今まであちこちに舞っていたアルミの粉を囲いの中で吸い込むことができるようになりました。また、より吸い込みやすくなるように、ホースの口から八の字になるように仕切り板を取り付けています。
ちなみにこの仕切り板と囲いには、グラインダーのコードを通すための隙間が設けてあります。これで囲いでコードを踏むこともありません。あけた穴から空気が漏れないように、仕切り板の周り、コードの穴にはゴムパッキンを取り付けています。この仕様は元から考えていたわけではなく、実際に製品を製作していただいた御年71の大ベテランの方が製作しながらアドリブで取り付けてくださいました。す、すごい、、、、、頭が上がりません、、、、、、、、、。
囲いをコンパクトな仕様にしたことで、それなら集塵機とグラインダーも一緒に動かせるようにしようということになり、グラインダーの下に集塵機を入れられるスペースを確保しました。側面のパネルには集塵機の排気のための穴もあけてあります。下部にはキャスターを取り付けているので、集塵機とグラインダーを一緒に移動させることが可能です。
さらに、移動可能な仕様にしたことで、場所を変えるたびに集塵機とグラインダーの電源コードをそれぞれ抜いて挿してするのが面倒!ということで、延長コードを作業台に取り付けています。そうすれば、延長コード一本を電源コードに刺すだけでどちらも使用可能です。なんという至れり尽くせりッ…!!!(ちなみにこれも先ほどの製作者の方が後から追加してくださった仕様です。)
こうして出来上がったこの製品。作業者からは、確実に囲いをつける前より粉を吸っている。服が真っ白になるまで汚れることがなくなった!との感想がありました。今では集塵機がうまく機能しすぎて、少し使っただけですぐに中を掃除しないといけなくなった程です笑
いつもはお客様に向けて製品を製作していますが、自社の現場にも自社のフレームを使って改善をすぐに図れる点は、メーカーという業種ならではだなと感じました。また、性能がいい事ばかりが重要ではなく実際に使う人が使いやすいように細かな点までこだわる姿勢がとても勉強になりました!